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介護タクシー事業の開業に関する許可申請手続き、運賃、法改正、開業後の変更手続きなど介護タクシーに関することを綴ります。更にホームページに記載されている内容より詳しく説明していますので、皆様のお役に立てるコラムかと思います。

第1回:「介護タクシー事業」っていつできたのか?制度創設の背景

平成13年に介護タクシー事業が創設されるまでは、「介護タクシー事業」という制度はありませんでした。

創設された経緯は、介護保険の訪問介護事業や障害総合支援法の居宅介護のサービス提供の一連の流れとして、運送業の許可なしに自家用車で病院等への送迎を行っていたことがきっかけである。

国土交通省(道路運送法の事業を管轄)が許可を得ずに行っている白タク行為を問題視し、厚生労働省(訪問介護等を管轄)と話し合いの結果、病院等の送迎にあたっては、今後介護タクシーの許可、特定旅客自動車運送事業の許可やNPO法人等の自家用有償運送お登録を受けるようになりました。

道路運送法の許可を得ていない白タク行為の問題は、万一、事故が発生した場合の賠償責任の問題や運賃が不明確さからくる様々なトラブルが発生する恐れがあります。

用語の注意点:なお、介護タクシー事業は、法律上の正式名称ではなく、ここでは、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)を指すものとして使用しています。

白タク行為

質問者

先ほど、説明に出てきた「白タク行為」って何?

行政書士田村

ナンバープレートを見て頂ければ、一般家庭で使用する車ですと白色のナンバープレートが付いていますね。

この白色のナンバープレートは、道路運送法の許可を受けた一般旅客自動車運送事業(タクシーなど)と異なり、お客様を乗せて、運賃を取る行為はできません。

白ナンバーで、運送行為を行うことから白タク行為と言われています。

一時期、外国人観光客を乗せて白タク行為を行っていたことが社会問題になったのをイメージして頂ければと思います。

第2回:介護タクシー事業の法律上の根拠:位置づけ

介護タクシー事業は、平成13年と比較的新しくできた制度です。

では、介護タクシー事業の法律上の根拠とその位置づけはどこにあるのでしょうか?

介護タクシー事業の法律上の根拠とその位置づけを理解しておくことは、法令試験対策としても重要です。

自動車六法で、道路運送法の条文を見ますと、1.旅客自動車運送事業、2.自家用自動車による有償運送と3.自家輸送の3つに大きく分類されます。

1.旅客自動車運送事業には、次の種類がありです。

<一般旅客自動車運送事業>

①一般乗合旅客自動車運送事業(法4条・許可)(乗合バス)

②一般貸切旅客自動車運送事業(法4条・許可)(貸切バス)

③一般乗用旅客自動車運送事業(法4条・許可)(タクシー)

 

一般乗用旅客自動車運送事業には、次のア、イ、ウの3種類の事業があります。

ア 法人タクシー事業

イ 個人タクシー事業(1人1車制)事業

ウ 福祉輸送限定(いわゆる介護タクシー)

<特定旅客自動車運送事業(法43条・許可)>

2.自家用自動車による有償運送(一種免許で可能)

NPO法人等による福祉、過疎地有償運送(法79条・登録)

3.自家輸送 無規制(一種免許で可)

学校や病院等の送迎輸送等、他人の需要に応じる輸送でないもの

ここまで来ると、介護タクシー事業の根拠と位置づけが分かって頂けたかと思います。

介護タクシー事業は、道路運送法第4条の法律上の根拠があり、一般乗用旅客自動車運送事業に位置づけられています。前述の1③ウが該当箇所です。

介護タクシー事業の法律上の根拠と位置づけを抑えることは、法令試験対策としても重要です。

というのは、自動車六法には、介護タクシー事業だけでなく、その他の事業も条文が記載されています。介護タクシー事業の法律上の根拠と位置づけをよく理解ていないと、出そうもないその他の一般乗合旅客自動車運送事業などの条文まで手をひろげ、時間を無駄にしてしまいます。

訪問介護員等の自家用有償運送事業

質問者

訪問介護員等の自家用有償運送事業があると聞いたのですが、法律上の根拠とその位置づけはどこでしょうか?

行政書士田村

結論から申し上げますと、道路運送法第78条3号に法律上の根拠があります。

位置づけとして、前述の2.自家用自動車による有償運送にあたります。

ただし、この訪問介護員等の自家用有償運送事業は、その事業だけを行うことを目的として、単独で申請できません。

つまり、介護保険法の訪問介護または障害総合支援法の居宅介護の指定を受けており、かつ、道路運送法第4条の一般乗用旅客自動車運送事業(介護タクシー含む)または特定旅客自動車運送事業の許可を受けていることが大条件となります。

路運送法第4条の一般乗用旅客自動車運送事業(介護タクシー含む)または特定旅客自動車運送事業の許可を得ていることが条件であることから、訪問介護員等の自家用有償運送事業のことを「ぶら下がり許可」とも呼ばれています。

第3回:介護タクシー事業の開業方針の決定前に

介護タクシー事業といっても、道路運送法4条の一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)、同法43条の特定旅客自動車運送事業、同法79条のNPO法人等の自家用有償運送のいずれも混同して呼んでいますので、いずれを指すか本人しか分からないことであり、また、法律上の名称など本人も理解していないことがあります。。

当事務所でご依頼を受けるときには、介護タクシー事業とは、何を指しているか、お客様が最終的にどのような事業を行うか、また、現状の背景など詳しくお聞きし、間違いがないことを確認してから進めていくことにしている。

ご本人が手続きを進めていく場合は、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)で本当に間違いないか、方針決定前に、確認して頂きたいと思います。

一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)、同法43条の特定旅客自動車運送事業や同法79条のNPO法人等の自家用有償運送の3事業には、それぞれの相違点があること、また、現状や開業後の事業内容にあっているのか、方針決定のヒントとなるよう、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)を主として説明していきます。

道路運送法4条の一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)とは?

1、旅客の対象者

車両に乗せるお客様は、次の①から⑤までの条件に該当する人であり、健康な人は、乗せてはいけないことになっています。⑤を野路てNPO法人等の自家用有償運送事業と同様です。また、この点で、誤解が生じやすいですね。

特定旅客自動車運送事業は、下記、①②③で、利用している事業者の利用者のみとさらに限定されています。

<旅客の条件>

①身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者

②介護保険法第19条1項に規定する要介護認定を受けている者

③介護保険法第19条2項に規定する要支援認定を受けている者

④肢体不自由者、内部障害、知的障害及び精神障害その他の障害を有する等により単独での移動が困難な者であって、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者

⑤消防機関又は消防機関と連携する患者等搬送事業者によるコールセンターを介して、搬送サービスの提供を受ける患者

※相違点

特定旅客自動車運送事業、NPO法人等の自家用有償運送は、上記の条件に加えて、会員登録などによって、あらかじめ利用者特定されていることが必要になります。

利用者が特定されていることまで求めていない一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)と大きく異なるところです。

2。旅客を輸送できる範囲

輸送の範囲は、例えば、大阪府で許可を受けた場合は、大阪府内全域で、次の業務内容で旅客を輸送することができます。

(以下は、例示です。)

①通院や入退院、介護施設などの送迎。

②お食事、お買い物、銀行、美容院などへのお出かけに。

③お墓参り、親戚ご友人宅への訪問や冠婚葬祭。

④観光やご旅行に。

など、街中で見かける旅客の対象者が限定されていない普通の法人タクシーや個人タクシーと同様に、輸送できます。

特定旅客自動車運送事業は、訪問介護事業者等の指定を受けている事業所が、利用者のご自宅と病院等への特定のルートの送迎に限定されている点で、大きく異なります。

そのため、輸送ルートも業務内容(買い物等のお出かけや観光や旅行)が制限されるため、旅客の幅広い要望に応えることができません。

旅客の幅広い要望に応えることがたいのであれば、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)がよいです。

3.一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)は、誰でも開業できるか?

個人事業主として、また、法人、介護保険法の訪問介護事業者あるいは障害総合支援法の居宅介護事業者どなたであっても、開業ができ、門戸が広いです。

※相違点

これに対して、特定旅客自動車運送事業は、訪問介護事業又は居宅介護事業の指定を受けている事業所しか算入できません。

また、NPO法人等による福祉有償運送事業は、NPO法人、社会福祉法人といった非営利法人しか算入できないことになっています。

株式会社や合同会社などは、当然、営利法人のため、算入はできません。

以上のヒントから、自分にあった事業を選択しましょう。

第4回:介護タクシー事業の許可を経るまでの所要時間と手続きの流れ

介護タクシー事業の開業するまでどれぐらい時間がかかるのでしょうか?

ほとんどの方は、初めて手続きを行うわけですので、そこは、スムーズにいかないことが多く、半年、または1年以上かかってしまったいうことをよくお聞きしております。

ただし、1つだけ、時間が分かっていることは、「書類を提出してから、許可まで2か月」と決められています。
※「書類を提出してから、許可まで2か月」とは、後記の手続きの流れでいえば、②から⑤までの期間にあたります。

ただし、初めて手続きを行う場合は、補正等(後記手続きの流れでは④審査開始)を受けることが多いので2か月で許可が下りることはあまり考えられません。2か月半以上かかるのではと思います。

時間がかかる要因として、次のケースが考えられます。

①車庫、営業所や自動車等の確保に時間がかかってしまった。

②法令試験に1回で通らず、再試験を受けた。

③申請したが、車庫や営業所が許可要件に該当せず、不許可になり、再度、申請することになった。

④申請後、自己資金不足が判明し、再度、申請することになった。

⑤申請後、補正指示を受けたが、補正書類の提出に相当時間がかかってしまった。

など

開業までの手続きの流れは、次のとおりです。

①申請書類の準備
・申請書類及び審査基準等の公示を運輸局のHPから取り寄せ
・営業所、車庫等の確保
・営業所、車庫等の寸法測定・写真撮影
・道路幅員証明書の取得
・申請書類の作成
など

  ↓

②管轄の運輸支局に書類の申請
・経営許可申請書
・運賃認可申請書
など

  ↓

③法令試験
・管轄の本局で受験します。
※不合格の場合、翌月に再試験となります。

  ↓

④審査開始
・管運輸局から申請書類に関するヒアリングや補正の指示があった場合は、それに対応しなければなりません。
※補正で解消できない場合は、いったん取り下げて、再度申請するよう促す場合があります。

  ↓

⑤許  可
・管運輸局から申請書類に関するヒアリングや補正の指示があった場合は、それに対応しなければなりません。
※補正解消できない場合やミスが多く亜R場合は、いったん取り下げて、再度申請するよう促す場合があります。
※許可までの期間は、申請から2か月半以上。補正等がある場合は期間が伸びます。

  ↓

⑥許可の開業準備
・登録免許税3万円納付
・車両の登録、自賠責保険への加入
・規定で定められた事業所名等の車両側面の表示と看板の設置などの開業準備
・営業所、車庫、車両等の写真撮影など

⑦事業開始
※上記⑥の事業開始に必要な準備が終了した上で事業開始できます。

  ↓

⑧運輸開始届
事業開始後、速やかに営業所や車両等の写真や必要な書類をそろえ運輸開始届をします。
※運輸開始届により、介護タクシーの手続きは終了です。

訪問介護事業者や居宅介護事業者は、>訪問介護員等の自家用有償許可申請を行うことができます。
※行う場合は、上記⑧の運輸開始届と同日以降に行います。運輸開始届前の申請は不可です。

以上